米国では、グーグルが世界規模で書籍データベースを構築するプロジェクトが進んで訴訟問題に発展している。
日本では、国会図書館と経産省がデータベース化と有料配信の構想を練っている。
2009年9月30日付け読売オンラインは以下を伝えている。
『国立国会図書館の所蔵する書籍のデジタルデータを、インターネットを通じて有料配信する構想が動き出すことになった。経済産業省が国会図書館や関係団体とともに、権利処理や収益分配など具体的なビジネスモデルを検討する委員会を近く設ける予定で、29日、出版社団体の日本書籍出版協会は委員会への参加を決めた。著作者団体の日本文芸家協会も加わる見通しだ。構想が実現すれば、国内の書籍について新たな流通の仕組みが誕生する。』
国会図書館は既に「近代デジタルライブラリー」として著作権の切れた明治・大正の書籍のデジタル画像、約15万冊を無料で公開している。
著作権が消滅していない書籍の場合は、その権利の処理が煩雑となることがデジタル化と公開の大きな障害となる。今年6月の著作権法改正で、国会図書館は資料保存のために、著作者の許諾を得ずにデジタル化できることになった。今年度の補正予算で、1968年までに受け入れた約90万冊のデジタル化が実現するという。
今回の構想は、国会図書館が蓄積した書籍のデジタルデータを、権利処理を行う新組織に提供。様々な配信事業者を通じて有料配信し、利益を著者や出版社などに還元するというものだという。
米グーグルとは異なり日本独自の書籍データベースを作ろうという構想になる。国会図書館の長尾真館長や著作権に詳しい松田 政行弁護士らが関係者と水面下で構想を練っていたとしている。
松田弁護士は『グーグルのように裁判で決める形ではなく、業界団体が集まって協議することでビジネスモデルを作れる』と説明している。
出版業界や作家の権利をどう保障するのかが鍵となる。29日の理事会後、日本書籍出版協会の金原優副理事長は「出版社や書店、流通、取り次ぎなどの利益が損なわれないように配慮しなければならない」と語った。


アメリカではグーグルがその力を背景に強引に書籍のデジタル化を進めようとして反発を招いた。
日本は国立国会図書館主導で出版協会や文芸家協会も加わり協議しながら進めることになった。
いわば和の精神を持った進め方で、アメリカとの文化の違いを感じる。
こういう調整型の方法はときとして、なかなか進展がなかったり、あまり目立った成果が出ないままうやむやに終わってしまうこともある。しかし、今回のケースは関係者が多方面に渡ることを考えると、日本のようにじっくり意見を聞いて議論を重ねながら進める調整型の方法がベストだと思う。
ちなみに、絶版になって再版できないような本がこのような方法で陽の目をみられるようになる。素晴らしいことである。
地味な分野ではあるが、このようなところの予算は安易に削らないように願いたい。