バンクーバー冬季五輪も終わりを迎えたが、ロシアの不振振りが国内で波紋を呼んでいる。
2010年2月27日付けasahi.comはモスクワ発として、
『冬スポーツ大国のロシアが、バンクーバー冬季五輪で不振を極めている。大会15日目で金メダルは3個。かつて米国やドイツと 首位争いを繰り広げた面影はなく、プーチン首相が異例の「原因分析」を指示したほか、担当大臣の進退問題にまで発展している。 』と伝えている。
24日、男子アイスホッケーでカナダに3対7でまさかの惨敗。ロシアは衝撃に包まれた。今大会、思うようにメダルが取れないロシアにとって、残り少ない「メダル確実」の競技だった。
1964年のインスブルック大会以来金メダルを取り続けてきたお家芸のペアフィギュアスケートでも金を逃した。「2014年のソチ(ロシア南部)冬季五 輪のために選手を温存しているのでは」というやけっぱちな憶測が流れるほどだった。
ソ連に大量のメダルをもたらしていたのは、1930年代に創設された体育教育システムだった。6歳から専門のスポーツ教育が受けられる学校が全国に 約4千あり、数百万人が学んでいた。その中から才能を見いだされた者は上級の専門学校へ進み、さらに鍛えられた。
ソ連崩壊と共にこうした施設への予算は消滅。施設を維持できなくなった学校は廃止され、残った学校も多くは「おけいこごと」のスポーツ教室にレベルが落ちた。
五輪に臨む姿勢も変化しているという。
ソ連時代は愛国教育が徹底し、「必ず金メダルを国に持ち帰る」という強い思いが選手にあった。好成績を残せば、住宅が与 えられ、一般国民には手の届かない海外旅行もできる特権も手に入った。だが、「今の選手は食事や服装の文句ばかり」と元フィギュア金メダリストのイリー ナ・ロドニナ氏は嘆く。
スポーツ観光青年省のムトコ大臣は「選手の専門養成所の再建が必要だ」と述べたが、グリズロフ下院議長は「メダル総数が4位以下だった場合は、責任を 取ってもらう」とムトコ氏の更迭を求める考えを明らかにした。


オリンピックになると、にわか愛国者が増えて自国のメダル獲得数に一喜一憂する。どの国も多分同じだろう。
確かに、かつてのソ連時代や東ドイツなどは強かった。国をあげて選手を養成していることは広く知られていた。そのシステムが崩壊したので、レベルが落ちたという因果関係は納得できる話。
日本でも、もっと予算をかけてメダルの数を増やすべきという意見も出てくるだろう。
ただ、国の力でお金を大量にかけないとメダルが取れないという図式になってしまっているのはどうなのだろうか。
本来、メダルはその個人の努力の結果に対して与えられるもの。国籍にしても、今回見ていると日本人がロシア国籍で出ていたり、アメリカで育った日本人が日本代表として出ていたりとグローバル化が進んでいることだし。
とは言っても、やっぱり自国の選手に期待したいし、メダルを取ってもらいたいという気持ちは万国共通なのもわかる。
プロ選手の出場問題や放映権の高騰など、オリンピックの商業主義化が言われて久しいが、どうバランスを取るかが問われることになる。