2010年3月8日付けasahi.comはロサンゼルス発として以下を伝えている。
『第82回米アカデミー賞の授賞式が7日、ロサンゼルス・ハリウッドのコダックシアターであり、和歌山県太地町のイルカ漁を告発した米映画「ザ・コーヴ」(ルイ・シホヨス監督)が長編ドキュメンタリー賞を受賞した。 』
映画のタイトルは「入り江」を意味する。太地町でイルカ漁の現場に潜入、隠し撮りした。シホヨス監督は米国の団体「海洋保護協会」の代表を務め、映画を通じてイルカ漁を自然保護に反すると批判しているという。
米国での評価は高いようだ。
米国では2009年7月末に公開、第1週に4カ所だった上映館が翌週は56カ所に増えた。米映画情報サイト「IMDb」によると興行収入は約86万6千 ドル(約7800万円)。09年の米サンダンス映画祭で米ドキュメンタリー映画部門の観客賞を受賞。米放送映画批評家協会のドキュメンタリー賞にも選ばれ た。
「年2万3千頭が不必要に殺される」「水銀で汚染されたイルカ肉が学校給食に使われている」という映画の指摘を、米メディアは衝撃的に受け止めた。かつて水銀を防腐剤に使った小児ワクチンをめぐる集団訴訟が起きるなど、水銀汚染に敏感な米国社会の風潮も無関係ではない。
さらに、隠しカメラを据え付けたり、警察官と思われる何者かに尾行されたりする展開が「ハリウッド映画の演出と同じくらいサスペンスに満ちた現実」(米 MSNBCのウェブサイト)という評価につながった。
一方で、地元では戸惑いと反発が出ていることも伝えられている。
「作品には事実誤認がある。正確な内容でないのに受賞したのは驚きだ」。太地町の三軒一高(さんげん・かずたか)町長は戸惑いを隠さない。国内公開については「常識があるところは取りやめてくれるだろう。町として、イルカ漁の正当性を国内外に主張していきたい」。
漁業法などに基づき、同町のイルカ漁を許可している和歌山県の仁坂吉伸知事も「長いあいだ太地町で行われてきた生活を守る営みを、一方的な価値観や間違った情報で批判するのは紳士の道に反する」と話した。
無許可で撮影するクルーと漁師らとの間では、撮影段階からトラブルが起きていた。地元は「処理場を盗撮され、許可してないのに顔を撮影された」と怒りが 収まらない。同町などでは、映画での「漁協は害獣駆除のために漁を行う」「水銀汚染を隠すためにイルカの肉を鯨肉として販売している」という指摘も、事実と異なるとしている。


なかなか難しい問題である。
この映画はまだ見ていないので、あまりコメントできる立場ではないが、報道で伝えられる限りでは次のように思う。
日本側の立場としては、鯨や今回のイルカの漁は日本の食文化として伝統的なものであり、節度を持って行ってきているので、とやかく言われたくない、ということであろう。
一方、海外では鯨やイルカのような高等な哺乳類は守るべき存在であるという考えがある。
環境破壊につながるような殺生はやめなくてはならないということ。
日本としては、そういうことならば海外では伝統的に同じ哺乳類である牛や豚を食べてきたではないかという論理をいうことができる。
そもそもかみ合わない議論なので、解決が難しくなっている。
客観的に見ても、どちらにも一理あると思う。
現状がどうなのかよくわからないところもあるが、例えば鯨に関しては国際的な取り決めに日本も従っているが、イルカについてはどうなのであろうか。
お互いに完全に全否定するだけではない方法を考えられないのだろうか。
意味もなく殺す必要はないことは誰でもわかる。
例えば、昔は生きるために必要だった漁も今は状況が変わっているならば、年間これだけまでは認める、というような制限をつけるとか。
SUZUKIさん
>環境破壊につながるような殺生はやめなくてはならないということ。
イルカ漁自体は環境破壊と何の関係もないです。非難されるべき部分があれば、それは絶滅危惧種をとった場合だけだと思います。総量は政府が決めていますので、すでに制限は設けられています。
この映画には事実誤認があり、
1.太地で年間23000頭のイルカ漁をしていると言ってますが、全国での漁獲枠であり、25人程度であの方法で取るのは無理です。
2.イルカ肉が水銀が水俣病を起こすほど高いというウソを主張、国が隠ぺいしていると言っているが、厚生省は情報公開済みと指摘すると、それでは不十分と、議論をすり変える。
他にもウソが満載なので、もし見るなら、相当注意して、データや基礎情報を持って見ないと、制作側のプロパガンダにやられてしまいます。
エドさん
絶滅する恐れがある生物を根こそぎ捕獲することになるならその種が滅びるというだけでなく、生態系のバランスが崩れてそれが環境破壊につながる、ということになると思います。
ただ、イルカの場合はそうではないということですね。
鯨やこのところ話題のマグロと比べるとイルカのことは今まで私も含めて一般的にほとんど知られていなかったと思います。
自分の主張を文章なり映像で表現しようとする場合、おっしゃる通り、都合のよい部分だけを恣意的に強調するということはありがちなことです。
(もっとも間違った数字を出したり、誤解を与えるような表現はもっと悪質ですが)
やはり、正しい客観的事実を基に見ていかないということでしょう。
それを示すのはジャーナリズムの重要な役割です。