2010年3月18日付けasahi.comはドーハ発として条約会議の結果を報じた。
『当地で開かれている野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の締約国会議は18日夕(日本時間同日深夜)、第1委員会 で大西洋・地中海クロマグロの国際取引を禁止する提案を反対多数で否決した。欧州連合(EU)や米国が禁輸支持を表明し、クロマグロの最大輸入国である日 本は危機感を強めていたが、規制強化に反発した国々が票を固めた。 』
この議決は、24日から始まる全体会合に報告される。ここで投票国の3分の1以上が求めれば再採決が行われ、禁輸支持派が投票国の3分の2以上の票を獲 得すれば委員会議決は覆る。ただ、18日の採決結果は予想以上の大差で、逆転の可能性はほぼなくなったという。
この日の審議では、冒頭モナコが、「絶滅の恐れがある種」を記載する条約付属書1に大西洋クロマグロを含めて国際取引を禁じる自国案を説明。その後各国 が賛否の立場を表明した。
EUは禁輸実施時期を来年5月まで先送りすることを条件にした修正案を提案。日本は反対の立場から意見を述べ、アジア、アフリカ の途上国の多くが賛同した。リビアが意見表明のなかで審議の打ち切りと即時採決を求めた。これを受けてアイスランドが無記名投票による採決を求め、規定の10カ国以上が賛同したため、無記名投票になった。
その後、採決するかどうかの投票が行われ、過半数が賛成。EU修正案、モナコ提案の順で本採決が行われ、EU修正案は賛成43、反対72(棄権14) で、モナコ提案は賛成20、反対68(同30)でともに否決された。モナコ提案への賛成票はEU加盟国数(27カ国)も下回った。


日本のロビー外交が珍しく功を奏した会議だったようだ。
世界の8割のクロマグロを消費しているという日本にとって、影響の大きい議題である。
多くの国際会議で見られるように、アメリカやEU対その他の国々の対立の構図というのがここでも見られる。日本は、途上国の支援をうまく取り込んで予想以上の反対票を集めることができたようだ。
ただ、気になるのは、本来は地球上の生物を守るという趣旨の会議が政治的な舞台になってしまうということ。
本当にクロマグロが絶滅する恐れがあるのか、信頼できる科学的根拠が欲しい。それがないと政治の駆け引きの舞台になってしまう。
漁業で生計を立てている人など、経済的な問題も大きいが、本来の地球上の多様な生物を守るという視点は忘れてはいけないだろう。もし、本当に絶滅する恐れがあるならば日本人も、いくろ食文化だといっても、止めなくてはならないはずである。