2010年6月28日付けasahi.comは以下を伝えている。
『キトラ古墳の壁画って、国宝じゃないの?』。飛鳥資料館で、そんな声が度々聞かれる。高松塚古墳壁画とともに、国内に2例しか確認されていない極彩色壁画だが、高松塚は発見直後に国宝指定された一方、キトラ壁画は国宝や重要文化財の指定を受けていない。その理由を探ると――。』
キトラ壁画の価値について百橋明穂・神戸大学教授(美術史)は「大陸から伝わった四神、十二支像、天文図を日本風に変化させて仕上げた点が大変優れている。キトラ壁画は高松塚古墳では確認できなかった朱雀があり、十二支像や、より精密な天文図もある。かけがえのない存在で、間違いなく国宝に値する」と太鼓判を押す。
国宝の規定は文化財保護法にある。「国の重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもの。たぐいない国民の宝たるものであるとして国が指定したもの」(第27条第2項)。
2009年度で日本の国宝は1079件(建造物215件、美術工芸品864件)。美術工芸品とは絵画や彫刻、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古・歴史資料で、このうち絵画部門は158件だ。
高松塚古墳は壁画発見の翌年の1973年に墳丘が特別史跡に、74年に壁画が国宝に指定された。キトラ古墳は青竜、白虎、天文図が発見された2年後の00年に墳丘が特別史跡に指定されたが、壁画は未指定のままだという。
その理由について文化庁古墳壁画室は「絵画は余白も重要な要素。キトラ壁画は余白などを含めて現時点で数百点に断片化しており、現状での指定は考えにくい」
さらに「(今にも崩れそうな)発見時の状態では保存措置を優先せざるを得なかったので、指定に必要な詳細な絵画史的調査がまだできていない。一連の取り外しや修理作業の経過で新たな事実が見つかることも十分予測され、修理終了を待って指定することが望ましい」と説明するとしている。


国宝に値すると思うし、とっくになっていると思っていた。
壁画が断片化しているのが理由とのことのようだが、完全な状態で保存というのはそもそも難しいと思う。もっとも、十分に国宝に値するだけの認知度や待遇も受けているので、そんなにラベリングにこだわらなくてもいいのかもしれない。
重要なのは、国民がその価値を認識して国が保存管理する体制を作ることだろう。
失われたら二度と残らない文化財に関しては、予算も優先的に付けることは続けてほしい。